10月23日(月)-10月28日(土)
11:30~19:00※最終日17時まで
作家 迎山和司
art space kimura ASK?P (B1F)
《生成された例(飼い猫のルルとミミ)》
「最近のAIによって描かれた絵を自分の作品だと主張する行為をどう思いますか?」
先日、学生に問いかけられた質問です。
近年、AIによってプロンプトだけで生成した絵を自分の著作ということに議論が起きているようです。
私自身はそのような人たちには興味をもっていません。
しかし、学生に答えるために最近の私のやっている絵をみせてこういいました。
「これらは私の絵を学んだAIが描いた絵です」
「これらの絵の線は確かに私の線だと思う。でも私はこうは描かない。
私の線なのに私の予想を超えた絵が出てくる。これはとてもおもしろい」
私はこう続けました。
「だから、私はむしろこの技術のおかげでよりたくさん絵を描くようになった。
今は毎晩描いている。どんな絵ができるか楽しみだから」
私はさらにこう続けました。
「とはいえ、絵も含めた創作は、描く側だけでなく観客もいるから成り立つ」
「そして観客は創作に対する生半可な行為を容赦なく見抜く」
「その観客の鋭い目を意識していればこだわるべきはそこではないとわかるだろうね。
結局、表現は野蛮で残酷なものだよ(だから美しくもある)」
これが私の答えです。
人工知能画家・静(しずか)は自律的に絵を描くコンピュータ・プログラムです。静は 2000年より制作を開始し、様々な変遷を経て現在は 14 号です。かつては大量の絵から特徴抽出してルールをつくり一枚の絵を作っていました。そしてここ数年はマンガを対象にしています。マンガの自動生成は現在も継続していますが、今回はマンガ AI の展示はお休みして、画像生成 AIの可能性に注目し、再び一枚の絵を展示することにしました。 今回の展示は、私(迎山)の線と私の記憶(これまで撮りためた写真)を学習した AI が描いた絵です。モチーフは私と暮らしている猫たちなどです。また、展示が訪れた人に楽しんでだくために、似顔絵を生成するデモも展示する予定です。 静の制作目的はヒトの創作行為の本質を知ることです。学習型モデルの AI を用いて、コンピュータとヒトを対比させると、ヒトの創作行為をコンピュータで置き換えられる部分と置き換えられない部分が明確になります。この違いを考察することは、ヒトの創作行為の本質を知ることにつながります。 今回出来上がった絵を眺めると、これらは確かに私の線であることは違いないと思いました。 しかし、同時に私はこのように描かないとも思いました。私の線であるにも関わらず、私ではない「何か」が描いた絵を目の当たりにすることはとても不思議な気分になります。 このように私にとって人工知能画家は、ヒトの認知と表象の哲学的探求であって、ヒトを超える創作機械を作る事ではありません。そして、このような展示が訪れた人の知的好奇心を刺激する事につながればよいと考えます。
■略 歴 公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科 教授 1968 年 兵庫県神戸市生まれ 1998 年 カリフォルニア大学サンディエゴ校芸術電算研究所客員芸術家 2000 年 プリ・アルス・エレクトロニカ 2000 ネット部門 入賞 2001 年 Siggraph2001 アートギャラリー 選出 2002 年 第 10 回フィンランド人工知能学会全国大会 論文採択および口頭発表 2008 年 ISEA2008 口頭発表 (シンガポール) 2011 年 FILE2011 選出 (サンパウロ/ブラジル) 2013 年 SiggraphAsia2013 アートギャラリー 選出 (香港) 2016 年 パリ東大学マルヌ=ラ=ヴァレ校 IMAC 招待講師 2020 年 手塚治虫 AI プロジェクト TEZUKA2020 参加 2022 年 池袋アートギャザリング公募展漫喜利部門入選(奨励賞) 2022 年 個展「人工知能画家・静 12 号」 (Art Space Kimura ASK?P)
本展覧会の AI モデルは StableDiffusion1.4 モデルからを生成しました。 このモデルのライセンスは The CreativeML OpenRAIL M license です。 本モデルおよび展示もこのライセンスを遵守します。https://huggingface.co/CompVis/stable-diffusion-v1-4