鈴木志郎康・鈴木野々歩・村岡由梨 「極私的家族再会上映会」

2024年5月17日(金)5月18日(土)

12:00-(プログラムA) /13:30-(プログラムB) /15:00- (プログラムC) /16:30- (プログラムD)

入場料500円

*5/18(土)プログラムD 終了後「表現者の血を超えて」と題して萩原朔美さんとのトークがあります。

作家 鈴木志郎康・鈴木野々歩・村岡由梨

■内       容

2022年9月8日に87歳で亡くなった義父・鈴木志郎康のお墓は、経堂にあります。その墓碑銘には「遊 極私」とあり、志郎康さんが生前デザインしたもので、その言葉の通り、詩や映画と戯れるように軽やかに駆け抜けた87年でした。亡くなった後、志郎康さんを慕う多くの方々が上映会などを企画して下さいましたが、私たちが家族として志郎康さんにしてあげられたことは数少なく、夫・野々歩(志郎康さんの次男)が十数年ぶりに完成させた新作映像作品を見せることが叶わなかったことも心残りでした。今回の上映会は、そんな心の小さなトゲがきっかけとなって企画されました。

志郎康さん、夫、私が初めて作った映像作品で構成された『はじめての映像作品』、コミカルな身体表現をテーマとした『コミカル!』、それぞれが43歳前後で制作した『43歳』、そして『家族を撮る』の4つのプログラムで繰り広げられる三者三様の映像表現を、どうぞお楽しみ下さい。(村岡由梨)

*会期中、会場内で詩集の物販あり

プログラム A 『はじめての映像作品』(78分)

EKO Series 鈴木志郎康 1963/20分

Mに捧ぐ 村岡由梨 2002/8分

人たちきらい 鈴木野々歩 2003/50分

プログラム B 『コミカル!』(66分)

極私的に遂に古稀 鈴木志郎康 2005/36分

俺とla takeとwii(石膏) 鈴木野々歩 2009/25分

私が肉を食べない理由Ⅰ 村岡由梨 2002/5分

プログラム C 『43歳』(67分)

眼球の人 村岡由梨 2023/2分

写さない夜 鈴木志郎康 1978/46分

映像書簡あぶり出し・あそーと。 2022/9分

プログラムD 『家族を撮る』(63分)

日没の印象 鈴木志郎康 1975/24分

風をとって 鈴木野々歩 2008/20分

透明な世界 村岡由梨 2019/7分

透明な私 村岡由梨 2020/12分

鈴木志郎康

1935年生まれ。2022年9月8日没。1952年ごろから詩を書き始め、早稲田大学第一文学部仏文専修を卒業。1961~1977年に、NHKのカメラマンとして勤務する一方、詩作を続け、同人誌「凶区」を創刊。1968年に詩集「罐製同棲又は陥穽への逃走」でH氏賞を受賞。2002年、詩集『胡桃ポインタ』で高見順賞、2008年に「声の生地」で萩原朔太郎賞を受賞。1960年代半ばから個人映画の制作も始め、一貫して日記的、身辺雑記的な空間として映像作品を作り続けた。代表作は、『日没の印象』、『15日間』など。1976年からイメージフォーラム映像研究所専任講師、1990年から多摩美術大学教授を務め、後進の指導にも尽力した。

鈴木野々歩

1980年東京生まれ。イメージフォーラム映像研究所卒業。詩人・映像作家の鈴木志郎康の次男であり、映像作家・詩人の村岡由梨の夫で、彼女の作品制作に携わっている。『風をとって』(2008)が第31回東京ビデオフェスティバルで優秀作品賞を受賞、第12回調布ショートフィルム・コンペティション入選。2児の父。

村岡由梨

1981年東京生まれ。日本女子大学附属高等学校中途退学、イメージフォーラム付属映像研究所卒業。一貫して「セルフポートレート」にこだわった自作自演の映像・写真作品などを制作、出演・美術・撮影などのほとんどを自ら行う。統合失調症の治療に伴い、2009年より作家活動を休止、2016年本格的に再開。第67回オーバーハウゼン国際短編映画祭グランプリなど国内外で受賞多数。2018年から詩作を始め、第1詩集『眠れる花』で第27回中原中也賞候補、第72回H氏賞候補にあがる。2児の母。


3D映画の最終結論 センチメンタル

2024年5月 6日(月)-5月11日(土)

ASK?P(B1F)

作家 山岡 信貴

 

映画上映日時各日 11:30/13:15/15:00/16:45

※初日は11:30の上映は御座いません。

各回監督によるアフタートーク有り/上映時間:72分

当日料金¥1500/予約料金¥1300

※ご予約はhttps://sentimental2405.peatix.com/から

 




それは3Dの最終結論か、新たな表現の幕開けか。
 
3.11を経て大きく変わるかと思われたこの国も、10年を経てみれば目が覚めるような変化はなく、そして迎えたパンデミックにおいても自分こそが正義だと信じて疑わず罵り合う様が繰り広げられた。一体、人間にとって正義とは何なのか?主張の違うお互いがわかり合うことは永遠に訪れないファンタジーなのか?
 
幼児を殺害しミイラにするという猟奇殺人をテーマに、異常なストーリー展開で罪と罰の根元を問う映画がこの『センチメンタル』だ。
 
そして、この物語に不可欠な要素として導入された3Dという映像表現。単なる流行だと扱われがちな3D映画の新たな可能性を『縄文にハマる人々』で開花させ、先進映像協会ルミエールジャパンアワード優秀作品賞を受賞した山岡信貴監督が3Dのさらなるポテンシャルを引き出した最新作でもある。
 
古今の3Dを再度検証し直し、必然性をもった3D表現を追求した結果、これまでハリウッド映画で使われていた手法の多くが効果的ではないという結論を得て、ストーリーと表現を緻密に連携させた映画が誕生した。

 
【Story】
まだ5歳になったばかりのマリという少女が殺害され、ミイラとなって発見された。
犯人の考古学者である雨宮啓子の行方は知れず、犯行を手伝った啓子の一人娘が逮捕されるも未成年で精神状態が普通でないことから罪に問われることはなかった。
それから7年経ったある日、成長した啓子の娘は金属製の箱の中に閉じ込められて、箱の外にはマリの父親を名乗る男が立っていた。
男の過酷な尋問を受け、想像を超えた殺人の動機が明らかにされる。
 
【キャスト・スタッフ】
出演 川島充顕(『PICKLED PUNK』『天然性侵略と模造愛』)
   PICO
監督 山岡信貴
   (『縄文にハマる人々』『死なない子供、荒川修作』『アートなんかいらない!』)
音響 プリン爆発プリン
上映時間 72分
 

 
【コメント】
これまでの3D制作の常識とされていたことのことごとく反対を行くことで、これまで誰も到達しえなかった、3Dの新境地を獲得した稀有な作品
 
麻倉怜士(オーディオ・ビジュアル評論家)VIDEO SALON2021年3月号より
 
【山岡信貴監督プロフィール】
1993年に初長編映画『PICKLED PUNK』を監督。ベルリン国際映画祭ほか多数の映画祭に招待上映される。以後も実験的なスタイルを貫きながら定期的に作品を発表し続けつつ、携帯電話キャリアと共に視覚の心理状態への影響の研究やデバイス開発等、サイエンスの分野にも積極的に取り組んでいる。
2013年にはロサンゼルスのIndependent film makers showcaseにて全長編作品のレトロスペクティブが開催された。
2010年よりドキュメンタリー分野に進出し『死なない子供、荒川修作』『アートなんかいらない!』を発表。『縄文にハマる人々』と本作『センチメンタル』では先進映像協会ルミエールジャパンアワード優秀作品賞を受賞している。


時を紡ぐ:潜在、乱れ、そして生の深遠

2024年3月18日(月)~3月23日(土)

11:30~19:00※最終日17:00まで

 art space kimura ASK?(2F)、ASK?P(B1F)

作家 佐藤地央、阿部零、笠原豪

 

本展は、佐藤地央、阿部零、笠原豪の3人によるグループ展だが、空間は作家ごとに区切られ、それぞれの作家性が独立しながら絡み合う。
佐藤地央は直感的な部分を重要視した制作スタイルをとっており、これによってその時の自身が抱く思考や感覚、環境をより自然な流れで作品に表す。 佐藤が 「濃いイメージ」と話す独特な感性がある。

阿部零は日々の生活において個人の感覚や思考などが乱れる瞬間と自他の繋がりをテーマにし、様々な素材をあえて乱雑に用いながら生活の中で研磨された己の主義を一つの作品という形へ成させ、それらは鑑賞者一人一人を乱し、様々な繋がりをつくる。
笠原豪は日常の見落としてしまっている幸せや生命の起源や意味に関心を持ち、油彩でそれらを表現している。作品たちはどれも一概には言い表せないような主張や問いなどを想像させる含みを持ち、鑑賞者に些細な幸せの気付きや生の不思議を感じさせ、契機をつくりあげる。
3人がこれまでに経てきた全てを凝縮させ、今をそれぞれの作品に表し、鑑賞者一人一人に変化や起点を生み、それぞれの今後に作用する。変えがたい時間と空間を生み出す。

阿部零『My Shqua 』制作:2023年サイズ:610×910mm
素材:塩ビ板・写真・油彩・アクリル・イヤホン

 

笠原豪『幸拾い』制作:2024年サイズ:227×158mm
素材:油彩、キャンバス

 

佐藤地央『覗き 』制作:2024年サイズ:1167×910mm
素材:パネル。アクリル、ペン、パステル

略歴

阿部零

2002年 神奈川県生まれ

2021年 和光⼤学表現学部芸術学科 ⼊学

笠原豪

2002年 埼玉県生まれ

2020年 高校生国際美術展 佳作賞

2021年 和光大学表現学部芸術学科 入学

2021年 公募展「二十歳の輪郭」 出展

2022年 和光大学 詫摩ゼミ展 出展

2022年 和光大学 詫摩ゼミ展「直に触れる」出展

2023年 椛田ゼミ展 「スイッチ」出展

2023年 和光大学椛田ゼミ展「imagine」出展

佐藤地央

2002年 神奈川県生まれ

2022年和光大学入学

2023年椛田ゼミ展「スイッチ」(和光大学パレストラ)

2023年椛田ゼミ展「imagine」(和光大学パレストラ)


中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「BOG BODY—召喚される身体」

■会       場 : art space kimura ASK?/ASK?P

■会          期 :2024年2 月 19 日(月)-3月9日(土)※日曜休廊

       11:30~19:00※最終日17:00まで

※トークイベントは2/23(金祝)14:00 より開催予定

肉体は自明ではない

湿地の奥、抽象の果てに召喚される

■中村恭子 略歴

中村 恭子 Kyoko Nakamura

長野県下諏訪町 生まれ

2005年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻 卒業

2010年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域博士課程 修了、博士(美術)

現職 大阪大学中之島芸術センター准教授、東京外国語大学AA研フェロー、早稲田大学総合研究所招聘研究員

主な展示歴

もんぜん千年祭2024(信州善光寺本坊大勧進紫雲閣/長野 2024)、大阪大学中之島芸術センター開館記念 中村恭子日本画作品展「風景の肉体」(大阪大学中之島芸術センター/大阪 2023)、N-ART展2022 vol.1(ガレリア表参道/長野 2022)、長野県文化振興事業「Re-SHINBISM 1」(ギャラリー82/長野 2022)、諏訪市美術館令和4年度特集展示:中村恭子日本画作品展「脱創造する御柱」(諏訪市美術館/長野 2022)、中村恭子展「首を擡げたアルシブラ」、中村恭子「皿鉢絵巻展」、中村恭子・郡司ペギオ幸夫刊行記念「TANKURI 創造性を撃つ」展、中村恭子日本画作品展「書割少女のアンチノミー」、中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「立ち尽くす前縁・立ち尽くされた境界」、中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「フーリエの日々」(順にArt Space Kimura ASK?/東京 2016、2017、2019、2021、2022、2023)、中村恭子日本画作品展「書割少女」(新潟大学旭町学術資料展示館/新潟 2022)、中村恭子日本画作品展「書き割りの身をうぐひすは無限小の幸福」(新潟市美術館市民ギャラリー/新潟 2021)ほか多数。

著書

主な著書に中村恭子・郡司ペギオ幸夫『TANKURI 創造性を撃つ』水声社、2018など。

中村恭子ウェブサイト:http://www.kyokonakamura.jp/

郡司ペギオ幸夫 略歴

郡司ペギオ幸夫 Yukio Pegio Gunji

1982年 東北大学理学部地学科 卒業

1987年 東北大学大学院 理学研究科博士後期課程 修了(理学博士)

1999年 神戸大学理学部地球惑星科学科 教授(2014年3月まで)

2014年~ 早稲田大学理工学術院 基幹理工学部・研究科 教授、神戸大学理学部名誉 教授(現職)

主な展示歴

もんぜん千年祭2024(西之門よしのや北蔵/長野 2024)、Alife 2023:無意識的関係性展(北海道大学クラーク会館/北海道 2023)、中村恭子・郡司ペギオ幸夫刊行記念「TANKURI 創造性を撃つ」展、中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「立ち尽くす前縁・立ち尽くされた境界」、中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「フーリエの日々」(順にArt Space Kimura ASK?/東京 2019、2022、2023)。

著書

主な著書に『原生計算と存在論的観測』(東京大学出版会、2004)、『生命理論』(哲学書房、2006)、『生きていることの科学』(講談社現代新書、2006)、『時間の正体』(講談社選書メチエ、2008)、『生命壱号』(青土社、2010)、『群れは意識をもつ』(PHPサイエンス・ワールド新書、2013)、『いきものとなまものの哲学』(青土社、2014)、『生命、微動だにせず』(青土社、2018)、『天然知能』(講談社選書メチエ、2019)、『やってくる』(医学書院、2020)、『セルオートマトンによる知能シミュレーション―天然知能を実装する』(共著、オーム社、2021)、『かつてそのゲームの世界に住んでいたという記憶はどこから来るのか』(青土社、2022)、『創造性はどこからやって来るか –天然表現の世界』(ちくま新書、2023)ほか多数。

郡司ペギオ幸夫ウェブサイト:http://www.ypg.ias.sci.waseda.ac.jp/


古澤龍個展  Mid Tide

1月15日(月)-1月27日(土)※日曜休廊

11:30-19:00

art space kimura ASK? (2F)

古澤は絵画、映像の領域を横断しながら視覚表現の新しい可能性を探究してきました。2020年から海景の撮影と、その映像への時間軸を操作する手法を用い、映像作品Waves Etudeの制作を続けてきました。風景を時間軸から捉え、波という自然現象に含まれる様々なリズムを掬い上げる独自のアプローチは文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品に選出されるなど評価を得てきました。

そこから発展したMid Tideシリーズは、複数の時間の流れが同時に展開し、それらが空間の歪みへと変質していく表現をさらに深めています。潮の満ち引きがいつのまにか風景を侵食するように、この作品は見る人の知覚の水準に静かに影響を及ぼします。

主催:古澤龍
助成:公益財団法人野村財団、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]
支援:令和5年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
協力:東京芸術大学大学院映像研究科

■略歴:                                          

1984年東京都生まれ。アーティスト。

2010年東京芸術大学絵画科油画専攻卒業、2012年同大学映像研究科メディア映像専攻修了。

東京芸大大学芸術情報センター教育研究助手、非常勤講師、情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 産業文化研究センター 研究員を経て、2018年より東京芸術大学大学院映像研究科博士課程在籍。

イメージメディアに対する時間と空間を組み替えるコンピューテーショナルな操作や、イメージ定着プロセス自体へのフィジカルな介在により、見る人の視知覚へ揺らぎをもたらす手法を用いる。その中にかろうじて現れる風景をテーマとする。またアーティストコレクティブの「ヨフ」としても活動している。

https://ryufurusawa.com