矢尾伸哉 Eden-Garden 庭園のレトリック

2024年7月 8日(月)-7月13日(土) 日曜休廊 11:30~19:00 (最終日17:00まで)

art space kimura ASK?P (B1F)

本作は、上野動物園でのフィールドワークをもとにして制作された映像インスタレーションになります。前作「パラダイスの戦略」は楽園をテーマに制作されましたが、今回は庭園がテーマとなっています。

「動物園」を「庭園」と呼ぶことに違和感があるかもしれません。実際、動物園が庭園になるのは比較的最近のことで、17世紀フランスのヴェルサイユ宮殿まで遡ります。それまでは、動物たちを捕獲・監禁・飼育する施設は、主に見せ物や闘技のためのものでした。動物園が庭園になったこと、その来歴から、人類にとっての見せ物が動物殺生から「生の展示」へと移行したことが読み取れます。現代にいたっては、動物園は学術・教育目的施設として動物保護すら掲げて運営されており、ある意味で「生」のアーカイヴとなっています。さながらノアの箱舟のように。

 庭園にインストールされた動物たち。これはいかなる楽園を模しているのでしょうか。アートはすでに「生ける人間」の展示もやり終えていますが、それは一時的なものでした。動物園という終わりなきインスタレーションを前に、私は過去の残滓を観ているのか、それとも未来へと残存するものを観ているのでしょうか。

 本作では、1)動物園施設を見る、2)動物を見る、という2つの断面にそって、庭園へアプローチします。これによって私が試みるのは、動物庭園のまったく経験的な異本の制作であり、「生」と「アーカイヴ」の奇妙な交錯を提示できればと考えています。

■略     歴

2003年より写真・映像を中心とした視覚的アーカイヴをテーマとしたインスタレーションを制作・発表。

最近の作品として、「You Are Here」(MuseeF 2020)、「Version」(表参道画廊 2021)、「パラダイスの戦略」(Ask?P 2023)等がある。


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