阿部和樹個展 「手描きの計算」

art space kimura ASK? (2F)

2025年3月3日(月)~3月15日(土)11:30-19:00 

※最終日17:00まで

阿部は“手描きの計算”をテーマに、音に反応してビジュアルを描画する仕組みの制作を続けてきました。

コンピュータによる演算は、その実行者が誰であれ同じ結果を出力できます。

そのため作家の独自性は描画プロセスそのものに表れると考えています。

したがって、作家には独自のプロセスやアルゴリズムを探求し、固有の表現方法を見出すことが求められるでしょう。

 

私は、イラストレーションや漫画、アニメーションといった、手描きが主流の視覚表現の領域に着目しました。

その中で、手描きの視覚的な特徴を計算による描画プロセスに取り入れ、独自の描画表現を探求しています。

 

手描きと計算による描画では、同じ視覚表現であってもその描画プロセスが大きく異なります。

手描きでは身体を用いた直接的な画面の操作が可能であり、そこから生じる特徴を計算による描画に組み込むことは困難です。

そのため手描きの特徴を抽象的に捉え、アルゴリズムへと再構築することが求められます。

それでも、二つの描画プロセスの根本的な差異によって、計算による描画が手描きの描画へと完全に一致することは容易ではありません。

 

本作はこの差異をはっきりと認識した上で、手描きと計算による描画の間に生じる領域に新たな描画の可能性を探る試みでもあります。

独自の描画プロセスを模索する過程で生じた、両者の特徴や特性が混ざりあったビジュアルを好意的に受け入れてきました。

本展では、単なる技術的模倣や表層的な再現に留まらない、独自の描画手法と描画表現を展示します。

 

主催:阿部 和樹

支援:令和6年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業

1997年 栃木県生まれ。アーティスト、プログラマー。

2022年 情報科学芸術大学院大学[IAMAS] メディア表現研究科 博士前期課程 修了。

計算機を用いて、独自の生成プロセスを構築することで作品を制作する。近年は「手描きの計算」という概念を主軸に据え、手描きの表現と計算機による描画が交差する領域に計算機を用いた新たな視覚表現を探求している。両者の根本的な差異と特性に着目し模索することで、単なる技術的模倣や表層的な再現を超えた独自の表現手法の確立を目指している。

阿部和樹ウェブサイト:https://sites.google.com/view/kazukiabe/

主な受賞歴

2023 – アジアデジタルアート大賞展 FUKUOKA 一般 / 静止画部門 優秀賞 受賞

2023 – 第二回 AIアートグランプリ 優秀賞

2022 – やまなしメディア芸術アワード 2022  入選

2022 – 第28回 学生CGコンテスト アート部門  Partner Award 受賞

主な展示歴

2024 – アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA 福岡市美術館

2024 – Lag-Log-Loop グループ展 新宿眼科画廊

2024 – 恵比寿映像祭2024 CCBT×恵比寿映像祭2024「Poems in Code——ジェネラティブ・アートの現在/プログラミングで生成される映像」 恵比寿ガーデンプレイス センター広場

芹澤 碧「Is there そこにいる」

芹澤 碧「Is there そこにいる」

art space kimura ASK?P (B1F)

2025年2月10日(月)~2月15日(土)11:30-19:00 

※最終日17:00まで

 2023年より制作を行うメディアアート作品《Is there そこにいる》に焦点を当てた展示を開催いたします。

 本作品は水滴に動きを作り、日常に見る水の形とは異なる水らしさを引き出すことによって、私たちの目がとらえる「物質らしさ」「リアリティ」とは何かを問いかけます。水そのものの「らしさ」と、形や動きから他のイメージを想起させる「らしさ」が混ざりあうことで、私たちが日常的に知る水の姿と非日常的な水の姿を持つヴァーチャルな姿を作り出します。

 映像メディアやAIの発達により、何が現実で何がヴァーチャルなのかその境界が曖昧になる現代において、私たちが何に対してリアリティを感じるのか「そこにいる」体験から投げかけます。本展示では映像の中にあるリアルな存在、リアルにあるヴァーチャルな存在を鑑賞するという二つの体験から試みます。

本作品は2024年のArs Electronicaのフェスティバル内の展示 Theme Exhibition HOPE: the touch of manyの出展作品に選ばれ、個展として本作品の展示を行うのは初めてとなります。

Is there 年代 : 2024年 サイズ : 500mm×500mm

ビジュアルアーティスト、メディアアーティスト。映像メディアを軸に、動きや現象に焦点を当てた作品制作を行う。近年は現実らしさやバーチャルらしさといった切り口から、物質や現象に対するイメージの認知を問う作品を制作している。これまでビデオインスタレーションやVR、オーディオビジュアルパフォーマンスといった形態で作品を発表してきた。近年は装置を用いた作品といった物理的な形態から、現代におけるリアリティは何かを探求している。また電子音楽研究会のメンバーとしても活動している。

CV

学歴

武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業

情報科学芸術大学院大学 博士前期課程在籍

展示

2021 [ __ ]line (Galeria mano a mano)

2021F (OPED SPACE TOKYO)

2022 NEWVIEW FEST 2021 EXHIBITION VIRTUAL VENUE

2022 FANCY REALTY ( 西早稲田 in the house)

2024 2023 年度 卒業・修了制作展 ( 武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス )

2024 2023 年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作 優秀作品展 ( 武蔵野美術大学 美術館 )

2024 Ars Electronica 2024 Theme Exhibition HOPE: the touch of many (Austria , Linz , POSTCITY)

パフォーマンス

2023 Hyper geek #5 (トンネル東京 )

2023 0 // 2023 Public Visuals (トンネル東京 )

2023 PROGRESS…? #03 (at) P.O.N.D. ( 渋谷パルコ PARCO GG Shibuya mobile esports cafe&bar) ※電子音楽研究会としての活動

2024 PROGRESS…? #04 w/ dialog() (代官山 saloon) ※電子音楽研究会としての活動

受賞・採択

2022 NEWVIEW AWARDS Silver Prize

2024 2023 年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作 優秀賞

2024 Flying Tokyo 2024 デジタル等クリエイター人材創出事業 採択

2024 令和 6 年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業国内クリエイター発表支援プログラム 採択