迎山 和司 「マンガを思い描く人工知能」・人工知能画家・静10号展

2020年12月7日(月) ~ 12月日(土)

※新型コロナウィルスのここ数日の全国感染状況とりわけ北海道と東京の増加を鑑みて、本展覧会は中止の運びとなりました。迎山氏のオンラインプレゼンテーションがWEBページにて参照できます。https://sites.google.com/fun.ac.jp/shizuka10/

open : 11:30~19:00 (最終日は17:00まで)

会場 : ASK?Ⓟ(B1F)

展覧会内容

人工知能画家・静(しずか)は自律的に絵を描くコンピュータ・プログラムです。

静は 2000 年より制作を開始し、様々な変遷を経て現在は 10 号になります。かつては一枚の絵画を描くプ ログラムでしたが、連続した絵画すなわち物語を扱うために 8 号からマンガを題材にしました。 マンガの記号的かつ柔軟な表現手法は挑戦しがいがあると思ったからです。人間は、素材とな る様々な情報を取り入れて、自分なりに消化しオリジナルの作品を作ります。そこで静でも、 既存のマンガを分析することによって、新しいマンガの物語を作ることを試みています。 人工知能が真に自律的に描くことの実現はまだ先の話ですが、今回の展覧会ではマンガを思 い描くという試みを行いました。マンガを読むとき、ヒトは想像力を駆使してそのマンガの情 景を心に思い描いています。通常、心に思い描かれたイメージを他者が直接みることはできま せん。では人工知能にマンガを思い描ける能力を模倣させたらどのようなことがわかるでしょ うか?本作品ではこの疑問への理解のために、ヒトがマンガを読んだときに心に思い描くよう なイメージを人工知能によって模倣しました。その結果、マンガに描かれた情報から動画を生 成することができ、脚本と呼べる情報が得られました。 静の制作目的は人間の創作行為の本質を知ることです。学習型モデルの人工知能を用いて、 コンピュータと人間を対比させると、人間の創作行為をコンピュータで置き換えられる部分と 置き換えられない部分が明確になります。この違いを比較することは、人間の創作行為の本質 を知ることにつながります。このように私にとって人工知能画家は、人間の認知と表象の哲学 的探求であって、人間を超える創作機械を作る事ではありません。そして、このようなプログ ラムの展示が訪れた人の知的好奇心を刺激する事に繋がればよいと考えています。

略歴

迎山 和司

公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科 教授

  • 1968 年 兵庫県神戸市生まれ
  • 1998 年 カリフォルニア大学サンディエゴ校芸術電算研究所客員芸術家
  • 2000 年 プリ・アルス・エレクトロニカ 2000 ネット部門 入賞
  • 2001 年 Siggraph2001 アートギャラリー 選出
  • 2002 年 第 10 回フィンランド人工知能学会全国大会 論文採択および口頭発表
  • 2008 年 ISEA2008 口頭発表 (シンガポール)
  • 2011 年 FILE2011 選出 (サンパウロ/ブラジル)
  • 2013 年 SiggraphAsia2013 アートギャラリー 選出 (香港)
  • 2016 年 パリ東大学マルヌ=ラ=ヴァレ校 IMAC 招待講師
  • 2019 年 個展「人工知能画家・静9号」 (Art Space Kimura ASK?P)
  • 2020 年 手塚治虫 AI プロジェクト TEZUKA2020 参加

本展覧会は学術発表であり、データセット Manga109 を利用規約に従い引用しています

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