畠中 瑠夏

「朝の支配から冬のばらまで」





「夜の灯り」2018,紙に木炭、61×90cm                      「朝の支配」2018,布に油彩、146×112cm

 

会期: 2019年3月4日(月) ~ 3月9日(土) 11:30~19:00  ※最終日は17:00まで

会場 : art space kimura ASK? (2F)


展示内容: 油彩画2点とそれを中心に木炭画、鉛筆、アクリル、などを用いたドローイング約20点、木を使ったインスタレーションなど




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 明け方に雨の音で目覚め、早朝のアルバイトに向かう。駅までの道で空は徐々に晴れ、陽が見えながらも雨が降る。人の姿は無く、気配を感じない。朝が支配する世界に迷い込んだのだろうか。

 東京で珍しい大雪になった日、雪に遊ばれながら自転車を漕いでた。轍を雪が消していく。ふと手元に白い花が落ちた。ばらのようだった。寒い真冬の夜のことだった。

 想像を促す小道具として日常の風景があった。柳田国男の「遠野物語」には、明治、大正、昭和の民話が編纂されている。「これは今から数年前のことだった、祠として今も祀っている」、など話に異様なリアリティがある。恐らくそれは実際にあったことなのかもしれないし、そう見えたのかもしれない。

 また、例えば、飛行機が空を横切って去って行った話が載っている。その光景を思い浮かべると現在の日常と地続きに思えるのだった。それらの一条の話たちは、松谷みよ子氏が言っている「現代の民話」として捉えられるだろう。

 私の目に日常風景から立ち上がってくるものが映る。なぜそれが立ち上がってきたのか、成立している理由を考える。何かの予兆かもしれないし、何かがそうさせているのではないか、と。

 遠野物語の何話かに私の何気なく行っていた行為と連動している所が見受けられた。このことから、その思い巡らしたものを現代の民話として表現した。

 今回は今までの「朝の支配」という話から「冬のばら」の数話を元にして制作を行っている。

 

<参考文献>

○松谷みよ子(2014)「現代の民話」河出書房新社

○ケンダル・ウォルトン(2016)「フィクションとは何かーごっこ遊びと芸術」名古屋大学出版会

○柳田国男「新版 遠野物語ー付・遠野物語拾遺」(2004)角川ソフィア文庫

 







畠中 瑠夏 Ruka Hatanaka


1995年生まれ   2018年和光大学表現学部芸術学科卒業












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