吉峯 和美 「Ground」 展 2010年5月24日(月)〜 6月5日(土) 11:30〜19:00(最終日17:00まで)日曜休廊 このたび、吉峯和美の1年半ぶりとなる個展を、京橋のギャラリー「ASK? art space kimura」にて開催いたします。 風景画か、それとも色面の構成か。吉峯は、具象と抽象の境界を往き来しながら、一つのイメージを立ち上げます。天と地を思わせる画面の二分割は、冬の荒涼とした大地、あるいは嵐が迫る海原のようにも見えるでしょう。「Ground」と題された一連の絵画は、吉峯が辿った道程で偶然現れた自然の姿を映し出し、刻々表情を変える大地と、大気の粒が舞い降りてくるかのような空によって、画面の均衡が保たれています。それは、19世紀の北方ロマン主義の画家、フリードリヒの荒々しい自然の猛威に立ち向かう人間の存在や営為のはかなさを表す絵画を彷彿とさせるといってもいいでしょう。一方で、遠近法から解放された平坦な画面構成は、20世紀半ばのアメリカ抽象表現主義の絵画の文法を受け継いでいるとも見ることができます。 そこで見る者は、風景と色面構成のあいだで揺らぐ絵画空間に身を投じ、自然の営みに身を任せながら、旅の偶然や生のままの自然に抱かれる感覚をひそかに体験することでしょう。 厳しくも慈愛に満ちた、詩情溢れる吉峯の絵画と、それらが繰り広げる「世界」の姿にご期待ください。 小澤慶介
1998年、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにて、ファインアート修士課程研究科修了後、主に国内にて数々の個展を行い、またグループ展に参加している。近年では、香川県の琴平で行なわれた「琴平プロジェクト こんぴらアート2008」に参加し、昭和初期に建造された琴平町公会堂と老舗旅館を舞台に、絵画のインスタレーションを行い、好評を博した。 |