植田信隆 展 「出現と運動」Emergence and Movement

2009.3.30(mon)〜 2009.4.4.(sat)
11:30〜19:00(最終日17:00まで) 日休

Op.5  194×392cm

【内 容】

原初のカオスは、無数の感覚的「ゆらぎ」と変化し連続する流れであった。 この連続する流れは、数学的な「連続性」という無尽蔵の本性を持ち、 種々の法則を展開しながら多元的宇宙を生成する。 そして、それぞれの宇宙は、目的論的性格をもつことによって完全で調和的な 体系を実現すべく進化を続ける。

チャールズ・パースの思弁的宇宙論は、かなり大雑把に言って、このようなものであったと思われる。この宇宙 論には、カオス理論や、自己組織化、デヴィッド・ボームの「全体流動」、量子論的宇宙論などを髣髴とさせる 内容があるという。ここからライプニッツのいう真の無限や、あるいは、重畳無尽の蓮華蔵世界を類推すること さえ不可能ではない。 変化し連続するこの世界の背後には、根源的なカオスアトラクターのような性格の運動があるのではないか? このところ、よくそんなことを思うのである。上に述べたそれぞれの世界観や科学理論がパースの宇宙論の背後 に透けて見えるのは、このアトラクターの軌跡の一部をそっと彼が撫でてみせてくれたからではないだろうか?  あと少しでその姿を捕まえることができると思えることもあるが、たいていは、無限に遠いと気落ちしてしまう。 明日はもう少し近くに行けるのかもしれない。でも、わからない。

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