吉峯和美展 YOSHIMINE Kazumi
- Passage-
11.10(Mon)-11.15(Sat) 11:30〜19:00 (最終日〜17:00)
上:「Passage of time 2」 2008 oil on linen 50×55cm
下:「Passage to tomorrow 1」 2008 oil on linen 58×70cm
主 旨
このたび、2008年11月に、京橋のギャラリー「ASK? art space kimura」にて、
吉峯和美(よしみねかずみ)の新作ペインティングの展覧会、「PASSAGE」展を開催いたします。
ロンドン大学ゴールドスミスカレッジに学び、帰国後も定期的に作品を発表してきましたが、
今回は、さらに「見る」という行為を、改めて鑑賞者に意識させる作品を展示します。
事物を見るとは、いったいどういうことでしょうか。
英国の理論家、ジョン・バージャーはこれについて、たとえば赤ちゃんが物を見る状況に言及し、「見ることは、言葉よりもさきにくる。」と言っています。
それは、赤ちゃんが言葉を覚えるよりも前に物をみて認識するということを表す一方で、
私たちの物の見方は、すでに得た言葉や知識に深く影響されているということをも指し示しています。
「見る」ことのみで、私たちは「世界」を認識しているわけではありません。
むしろ、私たちは言語によってさまざまな知識を理解することで「世界」を認識しているといえるのですが、
その裏には、私たちは、すでに純粋に「見る」という行為を忘れさせられているという事実が隠されています。
このような問題を、ペインティングという、色を置く抽象的な行為によって出来上がるイメージで、浮かび上がらせます。
吉峯のペインティングに見る、ぼんやりとした風景のような図柄は、抽象的な色の重なりであり、
またそこに意味を見出そうとする鑑賞者の働きかけにより具体的な風景としても立ち現れるでしょう。
そうすることで、吉峯は、鑑賞者に向かって、「純粋に見る」と「知識を使って見出す」の間に広がる、「見る」という行為に隠された喜び、
そして問いを投げかけることでしょう。
「見る」行為と「世界」の認識が絶えずうつろいゆくなかで、「見る」ことを誠実に考えさせる「PASSAGE」展にどうぞご期待ください。
つきましては、吉峯和美の新作展「PASSAGE」の周知広報にご協力賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
小澤慶介
フリーランス・キュレーター
見どころ
・ 新作の油彩ペインティングを10数点を展示。
・ 三連作のペインティングで、ペインティングというメディア特有の「時間」を視覚化させ、「見る」ことと「認識」することの違いを表す。
・ さらに、「見る」ことと「世界」の認識の不安定な関係を見つめ直し、改めて「見る」ことの喜びを投げかける。
その他作品
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