「マンガを描くために、人工知能はセリフから表情を推定する」-人工知能画家・静9号展

2019年10月28日(月) ~ 11月9日(土)

open : 11:30~19:00 ( 最終日は17:00まで . 日曜休廊 )

18:00より、プレゼンテーション+パーティを開催

会場 : ASKⓅ(B1F)

人工知能画家・静(しずか)は自律的に絵を描くコンピュータ・プログラムです。今回の展覧会では鑑賞者がセリフを入力すると静がその場でマンガを描きます。結果はまだ稚拙ですが登場人物の表情は自律的に判断して描くようになりました。

 静は2000年より制作を開始し、様々な変遷を経て現在は9号です。かつては一枚の絵画を描くプログラムでしたが、連続した絵画すなわち物語を扱うために8号からマンガを題材にしました。マンガの記号的かつ柔軟な表現力は挑戦しがいがあると思ったからです。人間は、素材となる様々な情報を取り入れて、自分なりに消化しオリジナルの作品を作ります。そこで静でも、既存のマンガを分析することによって、新しいマンガの物語を作ることを試みています。具体的には人間の作家によって描かれた既存のマンガから、登場人物とフキダシを特定し、その位置や内容を抽出しました。そしてセリフと表情の関連付けを学習させて入力されたセリフから妥当な表情を連想できるようになりました。

静の制作目的は人間の創作行為の本質を知ることです。学習型モデルの人工知能を用いて、コンピュータと人間を対比させると、人間の創作行為をコンピュータで置き換えられる部分と置き換えられない部分が明確になります。この違いを考察することは、人間の創作行為の本質を知ることにつながります。このように私にとって人工知能画家は、人間の認知と表象の哲学的探求であって、人間を超える創作機械を作る事ではありません。そして、このようなプログラムの展示が訪れた人の知的好奇心を刺激する事に繋がればよいと考えます。

略歴

迎山和司 Kazushi Mukaiyama

  • 公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科 教授
  • 1968年 兵庫県神戸市生まれ
  • 1998年 カリフォルニア大学サンディエゴ校芸術電算研究所客員芸術家
  • 2000年 プリ・アルス・エレクトロニカ2000ネット部門 入賞
  • 2001年 Siggraph2001アートギャラリー 選出
  • 2002年 第10回フィンランド人工知能学会全国大会 論文採択および口頭発表
  • 2008年 ISEA2008 口頭発表 (シンガポール)
  • 2011年 FILE2011 選出 (サンパウロ/ブラジル)
  • 2013年 SiggraphAsia2013アートギャラリー 選出 (香港)
  • 2016年 パリ東大学マルヌ=ラ=ヴァレ校IMAC招待講師
  • 2018年 個展「人工知能画家・静8号」 (Art Space Kimura ASK?P)

本展覧会は学術発表でありデータセットManga109は利用規約に従い引用しています。

表情判定AIはみづはし氏のコードを元に独自の訓練データを用いてモデルを生成しました。

https://qiita.com/thetenthart/items/04b220ea8d348ccdaed6

カテゴリー2019